双姫 Ⅱ
「他に何か言ってませんでしたか?」
「いや?「直ぐ戻る」ってだけだったんだよな…。
俺も宿題に夢中だったし。」
「おい、燐。起きろ!」
玲が燐の鼻を乱暴に摘(つま)んだ。
「フゴッ!?」
『息止まるって…。』
「鼻、鼻が痛いぃ……。」
真っ赤になった鼻を摩る燐。
若干、うる目になってて可哀想だ。
「なぁ、類って「直ぐ戻る」って
言って出てったよなー?」
「え?う、うん。なんで?」
「まだ帰ってないんですよ。」
部屋を見ても居なかった。
電話に掛けても出ないから
どこで何をしているのか分からない。
「ハッキングしますか。」
李樹がパソコンを開いたと同時に、
ガチャ…
扉が開いた音が聞こえた。