双姫 Ⅱ
「神崎さ〜ん!こちらへどうぞ〜!」
『はい。』
病院とは違う、暖かい空間。
「おめでとうございます、一ヶ月位ですね。」
女医の先生に結果を言われ、
改めて妊娠している事を実感した。
『…ありがとうございます。』
「失礼ですがおいくつですか…?」
『来年で17になります。
子供の父親も分かっています。』
複雑そうな顔をする先生。
学生が妊娠しているんだから当たり前か。
「中絶するのは簡単です。
でも、貴女のお腹の中にはまだ小さいけど
命が宿った事を忘れないで下さい。」
『はい、ありがとうございました。』
エコー写真を持って、病室を後にする。
『ちっちゃい…。』
エコー写真に写る小さい赤ちゃん。
『命か…。』
産婦人科から出て、街に姿を消した。