双姫 Ⅱ


ザワザワと騒がしい街中を
素知らぬ顔で突き進む一人の美少女。


「え、あの子って!」

「あのCMの!」

「声掛けてみよーぜ!」


そんな声を無視し、花屋に踏み込んだ。


『う!……ゴホッ!?』


いつもなら何も感じない花の薫りにむせる。


「いらっしゃいませ〜!あら?貴女この前の…。
顔色が悪いけど大丈夫?」


『お構いなく、カサブランカをお願いします。』


鼻を摘むのは失礼だと思い、
我慢して笑顔を振り撒く。


「少々お待ち下さい!それまでこちらに。」


『ありがとうございます…。』


用意された椅子に座り、深呼吸をする。


眠気と熱っぽさで身体がダルい。
妊娠って大変なんだな…。


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