双姫 Ⅱ
『奈緒珠さん、元気かな?』
退院してから会ってないもんな。
ストーカー事件の事は話してない。
只でさえ心配掛けたんだもん。
『…ん?』
怒鳴り声が聞こえる。
「ですから!お教え出来ません!!
お帰り下さい!」
『奈緒珠さんがキレてる…。』
遠目にしか見えないけど、
物凄い形相なのは分かる…。
『な、奈緒珠さーん?』
出て行きずらい雰囲気だったけど、
構わず声を掛けた。
「朱音ちゃん!?どうして!」
『奈緒珠さんに会いたくなって!』
「…朱音?」
あれ?誰だろう。
『ッ!!??』
奈緒珠さんに怒鳴られていた
女の人の顔を見て私は絶句した。
その女の人は
私と同じ『朱い瞳』をしていたから。