双姫 Ⅱ
「俺からもおめでとう。」
「あ、ありがとう。」
笑顔のつもりだろうが引き攣ってる。
早く出て行って欲しいんだろう。
「朱音、そろそろ帰るわ。
そのまま来たから親にも顔見せてないんだ。」
痛い視線に耐えられなくなった俺は
帰宅の意を示した。
『そうだったの!?
それなら早く帰った方が良いね!
玄関まで見送る!』
朱音、そして…樺沢も玄関まで出てくれた。
「こんな事、
俺が言える事じゃねぇけど幸せそうだな?」
『うん!両親と弟さんによろしくね!』
「あぁ。あ、それと錦なんだが。
アイツはまだ出れないらしい。」
『そっか…。』
「でも、面会してる内に少し変わって来たよ。
俺もこれから頑張る…ありがとな。」
『頑張ってね…!』
握手をし、離した瞬間
ガバッ!
『ひゃわ!?』
「はい、話が終わった所で俺と話をしようか。」
『ヒィ!?い、嫌だぁぁぁーーー!!!』
バタン!
狼に担がれ、朱音は扉の向こうへ消えた。