双姫 Ⅱ
「…李樹!!!」
「……私は支えただけですよ。
疚しい事はしていません。
そんなに怖い顔をしないで下さいよ。」
『え…?』
怖い顔?
李樹から離れ、見ると無表情の類。
人って無表情が一番怖いよね。
「…朱音、俺のに乗って。」
『え、でも…。』
私の手には李樹のヘルメットがある。
「これ被って、それは返す。」
半ば強引に類のヘルメットを被され、
手にあった李樹のヘルメットは返された。
『う…えぇと……。』
ヘルメットを被されて呆然と突っ立っている。
こ、これはどうすれば良いの…?
類のに乗れって感じなのかな。
周りを見ると皆が呆れたように類を見ている。
当の本人は無表情でバイクに乗ってるけど。
えーっと…皆は何に呆れてるのかな?
「…朱音。」
『ひゃい!!??』
考え事をしてて
いきなり呼ばれたから声が裏返ってしまった。