Another・Cinderella
終わりからの始まり


家族のことや、普段の生活の仕方は覚えているものの、ちらほらと分からないことのあった私は、一週間仕事を休んだ。

その間に社長と話したり、自分の出演作を観たり、演技の練習をしたり…結構忙しかった。

でも何より楽しくて、私は好きでこの仕事をやっていたんだと分かる。

仕事が始まってからも、忙しいけれど、充実した毎日を送っていた。

分からないことは全て慶ちゃんに聞く。
頼り甲斐のあるお兄ちゃんのようだった。
そんな時ふと思う。私はこの人のことが好きだったんだ…。
記憶喪失とは、恋心も忘れてしまうものなのか。


今日も仕事が終わり、家に帰る。

私も、もう大人なので、一人暮らしだ。

「ただいまあ〜…。」

誰の声もしない。まあ、そうか。
家にはだれもいない。寂しい。よく一人暮らしを選んだなと思う。

とりあえず眠い。

「お風呂はいって寝よ。」

その日は疲れていたため、ベッドに入るとすぐに眠りについた。

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