クールな君の溺愛
「おはよう、藤堂」
私の左隣に座った藤堂に瀬川くんがそう笑いかけると、
「…………ん」
藤堂くんは本から1ミリたりとも目をそらさずに答えた。
瀬川くんはバックを置くと藤堂くんの机の脇に立って、バンッと手を合わせた。
「なぁ、藤堂。本気でお願い!今日の宿題見せてくれよ…。忘れちゃってさ…」
「………断る」
「そう言わずにさ…!頼むって…」
すごいなぁ、瀬川くん。と会話を横目で見ながら思う。
私だったら、あんな冷たく言われたら話しかける勇気、なくなっちゃうよ…。
なんて、思っていると、
「なっ、橘さん!」
いきなり話を振られて
「ふぇっ!?」
驚いて、変な声を出してしまった。
な、なんの話してたんだっけ………。
「藤堂、宿題見せてくれないんだぜ。少しだけお願いって、橘さんからも頼んでくれよ………」
「あの…瀬川くん。宿題、私のでよければ見せようか…?」
もしかしたら、藤堂くんにも見せたくない理由があるのかもしれないし…。
「えっ!?本当?ありがとう、橘さん。
俺、橘さんが天使に見える…!」
天使って………
そんなに嬉しかったのかなぁ。そんな、大げさだなぁ瀬川くん。
ごそごそとカバンの中からノートを出そうとしていると
「あれ…っ!?」