クールな君の溺愛
うーんと唸りながらも、瀬川くんと並んでノートを写していると
「苺花、瀬川、朝からなにしてんの?」
呆れたような声が降ってきて顔をあげた。
「さっちゃん、おはよう!」
「おはよう苺花。それで、そのノートは?」
「えへへー。宿題忘れちゃって、藤堂くんに写させて貰ってるんだー」
藤堂にも優しいところがあるのね、とからかうさっちゃんに藤堂くんが眉をひそめる。
「優しいも何も、キャンキャンうるさいから黙らしただけだ」
キャンキャンって、私は犬かなにかかー!と突っ込みたかったが、ノートを借りている手前そんなことを滑らせて取り上げられたら困るので黙る。
「でも、なんだかんだで藤堂って優しいよな。ツンデレってやつ?」
にこにこ顔の瀬川くんを藤堂くんの冷たい目線が突き刺す。
でも瀬川くんはそれさえもははっと笑って流してしまった。
「写さないならさっさと返してくれないかな」
ため息をついてノートを取ろうと手を伸ばした藤堂くんに
「ちょ、藤堂!待てって!」
瀬川くんがあわてて戻って、今度はおとなしくノートを写し始めた。