ホットな恋
あの後、初めて羅一君とふたり揃って会社を後にして、同じ家に帰った。会社の人には誰にも言っていなかったけれど、結婚のために羅一君とはすでに同居している。


「いつも我慢してしまう雫が、神谷さんにはっきりと俺のことが好きだって言ってくれて嬉しかった。俺はなんにでも一生懸命、一途に取り組んで、家庭的な雫が好きなんだ。俺にとっては雫が一番だから、俺の隣は雫以外考えられない」


帰宅してひと息ついた頃、羅一君がしみじみと話し始めた。


「私も嬉しかった。ごめんね、今まで私のワガママでみんなに隠し続けてきて、窮屈な思いをさせちゃって……」


「それは俺も望んだ事だから。けれど、来週からはどうどうと俺の彼女は雫だって言うからな」


「恥ずかしいけど、いいよ。もう大丈夫だよ、ちゃんと羅一君と生きていくって決めたんだから」


結婚するからにはこれ以上会社の人たちに黙っていくわけにもいかないし、これ以上羅一君のことを隠したくないから。私の隣は羅一君で、羅一君の隣は私。それ以外は考えられない。


「雫……ふたりでいつまでも温かな家庭を作ろうな。冷めることのない、ずっとずっと温かな家庭を」


Fin.




*出演者*
丹部 羅一(たんべ らいち):ステンレスタンブラー
間久 雫(まく しずく):マグボトル
神谷先輩:紙コップ ←ひと昔前のモテ女

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