恋チョイス



ところが。

「だれでもいいなら、おれでもいいよね。帰ろう」


しばらくのあいだ、うなだれて、ヘルメットの傷をなでていたナカガワが、それをぐいと差し出した。



「あんたバカ?」

あたしは、あきれてけなした。


「だれでもいいっていわれて、それでもいいの? あんた、プライドないわけ?」

が、本当はこういいたかった。



「好きになったほうが、負けだよ」

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