恋チョイス
第四章

真実




それは、だまし絵みたいに、ふいに出現した。


ほんの2メートル先、黒いバイクのシート上。

忘れられた手袋のような、片手。


まぎれもなく、ゴウダの手。



10分前。

ナカガワが、いつまで待っても、むかえにこない。

それであたしは、駐輪所まで行ってみる気になった。


用心しいしい進み、駐輪所も無人に見えたのに。

< 117 / 243 >

この作品をシェア

pagetop