恋チョイス



あたしは息をひそめ、その場で身がまえた。


バイクの向こうで、キーを鳴らしながら、ゴウダが立ち上がる。


「よう」

こちらに呼びかけて、そしてあっさり、バイクに目をもどした。


「タンクにへこみができてんだよ。だれかコケさせたんじゃねえのかなあ。カウルはつけたくねえし、シートでもかけるかな。なあ、おまえ。そこ、動くなよ」



あたしたちは、同時にとびだした。

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