恋チョイス



なつかしい気だるさが押しよせて、とてつもないバラ色に、体がゆさぶられる。



ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……

おさない唇が、無声の謝罪をえんえんとつむぐ。


あたしは、つま先の鋭さを内臓で受けとめながら、みょうに冷静に、納得している。


脱げないし、硬いし、蹴りやすい。


ママが、バラ色のスリッパに買い替えたのは、このためだったんだ。

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