恋チョイス



「おまえが逃げるからだろ」


「だって、あんたが」

あたしは、ふたたび言葉につっかえ、ゴウダを凝視した。


見つめあって数秒。


何を早まったか、ゴウダが、くちびるを突き出してせまってきた。


ひっぱたいてやめさせる。


「いま、誘ったくせに」

ゴウダは、うらめしそうに頬をさすった。



あたしは、おなじみの焦りにかられていた。


でも、いま、はじめてわかった。

それは、ゴウダに対しての焦りではなかったのだ。

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