恋チョイス



熱い涙があふれ、頬をつたった。

体を抱きしめ、小さくなる。


憎しみの奥底から、ひたかくしにしていた、あの、バラ色の恐怖がたちのぼった。


「ゆるしてママ。おねがいママ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」



くっきりとよみがえる、ハハオヤの声。

おなじみの小言。


ご近所の方から、また苦情がきたのよ、ママ、恥ずかしくて。

だから、もうよしてちょうだい。

でなかったら、種類別にちゃんと分別してほしいの。 

お願いよ、
ちゃんと分けてね。


ちゃんと分けて。



ゴミは。

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