恋チョイス



ベンチでは、ゴウダ、ピアス、アフロ、キミドリが、勢ぞろいしてふざけ合っていた。


「姉さーん!」

キミドリが呼ばわり、ゴウダが頭をめぐらせた。


視線をつないだ二人きり。


ゴウダが、艶めくまぶたをたれて、たっぷりした笑みをたたえる。


あたしも、笑みをかえした。

胸が、甘くぐずつく。


好き。

ひとりごちて、切なさを噛みしめる。


せつな、激情につらぬかれた。
ゴウダを刺したい。


刺し違えておちていく、二人のイメージがよぎり、陶然となる。


ゴウダを道づれに、おちていけたなら、きっと幸せ。

ゴウダならいい。

ほかはもう、何もいらない。



ひかれるかと思った。

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