恋チョイス



20円時給の高い、調理を希望したが、接客にまわされた。


厨房からおしよせる、揚げ油の臭気。

さりげなくさわってくる店長。

わざと注文をまちがうパートの主婦。

男性客の露骨なさそい。


そういった環境で、一日十時間働いた。


客足がとぎれると、手あかにくもるガラスドアの向こうの、夏日にさらされた、白い街路を見つめて、考えにふけった。



どうしてあたし、こんなところで、こんなこと、してるんだろう。

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