恋チョイス
ド田舎脱出
この町から、脱出しよう。
眠れない夜をすごしたあと、あたしは決心した。
眠れなかったのは、夕方、寝入りばなを起こされたせいではない。
寮生だろうか、ドアごしにうるさく呼ばれたが、
「ほっとけ、バカ!」
と一喝して、ふたたび寝入ったので。
たんに、ついこのあいだまで、深夜は大都会をはいかいする、遊びの時間だったためだ。
その大都会は、もぐりこむすきまがたっぷりあって、つねに、どこかしら居場所を見つけられた。
都会が恋しい。
都会に帰ろう。
朝日がのぼった。
いざ、脱出のとき。