恋チョイス



お気に入りの服だけが売れて、手数料を引いたあとの、ちっぽけな小銭だけがのこった。


茶色のキャッシュカードで、ハハオヤの金を、端数まであまさずおろした。


これら、この夏たえた屈辱、すべてが無意味だった。



なんだか、疲れた。

もうどうでもいいし、どうなったっていい。



と思った瞬間、ゆらり。

空き缶タワーがかしげ、上の立つあたしを、一方へ投げ出した。


けたたましい空き缶の響きが、耳をつんざく。

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