恋チョイス
第五章

男の名は




夏休みあけ、二学期。
初日のあさ。

ゴウダの切った、借金返済の期限。


あたしは、蝉しぐれをぐっしょり浴びて、寮の門をでた。


ふいに呼ばれた。

男の声。


強い日射しをさえぎり、あたりをさがす。


男がひとり、影を黒々と落として、塀によりかかっていた。



明白にもかかわらず、あたしは、名前をたずねずには、おられなかった。

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