恋チョイス



「でもこれ、暑いし、重いし、息が苦しいよ? 死んじゃいそうだよ?」

あたしは、クウンクウンとなく子犬、の表情をつくって、あわれっぽくたのんだ。


「ねえ、前のにして? かわいくないのは、いや」



これだけ熱演したのに、なんと、ナカガワは取り合わなかった。


「すぐなれるよ」

あたしの目元に、透明なカバーをおろして、まぶしそうにほほ笑む。


「よく似合う、かわいい。行こう」

< 154 / 243 >

この作品をシェア

pagetop