恋チョイス



あたしは、いつもなら、シートにまたがったそばから、だらり、と頭をもたせかけるナカガワの背中を、つくづくながめた。


やけに頼もしくみえる。


ナカガワのシャツが風にはためいて、かすかに、太陽みたいな汗のにおいがした。



夏の間、女子大生に、恋愛の手ほどきでもしてもらっていたのかな。

ぼんやり、そんなことを考えて、気がついた。


そうか。

これまでにない、自信ありげな態度が、ナカガワを以前と別人にみせいたのだ。


相手はどんなヒトだろう。

あたしは想像して、ほのかな淋しさをおぼえた。



でも、その想像は、まるでまちがっていた。

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