恋チョイス



ナカガワの目のふちが、みるみる赤らみ、ノドぼとけが、大きく上下する。


肘にかかるあたしの手を、つかみかけ、思い直したのか、ひとさし指の背で、しずかに、ごくそっとなでる。


おだやかに、力強く、祈るようにささやいた。


「ヨシダさんには、ちゃんと価値あるよ。すくなくとも、おれにとっては、ちゃんと価値ある」



ふい打ちだった。

< 162 / 243 >

この作品をシェア

pagetop