恋チョイス
ひどい男、とわかっていながら、なすすべもなく、ひきつけられてしまう。
花が、つぼみを開かずにいられないように。
月が、満ち欠けをとめられないように。
心が、ゴウダへの思いをあふれさせる。
あたしは、うかれた気持ちをしっかと地に引きおろし、ひとつ深呼吸して歩みだした。
かこむ男子のすきまを抜けて、ゴウダの顔のそばちかく、ピシャリ、机をならしてバインダーを置く。
「借りたもの、返しにきた」