恋チョイス



とどいたゴウダの声に、あたしの耳は浮きたち、はばたいて飛んでいきそうになった。


もちろん、おもてには出さない。
あくまでも、そっけなく言う。

「なんで?」



「いるか、きいてんの」


笑いまじりに返されて、あたしもつい、ふくみ笑いをもらしそうになった。

口元をひきしめる。


「いるけど、なんか用?」


「広場までこいよ」


「やだ」


「だまれ。こい」



なごやかな空気が、急速にうすれた。

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