恋チョイス



「なんでもする」


逡巡するような、沈黙がおりた。

マエダの、上唇のまんなかを、舌先でチロチロなめるしぐさが思いだされた。


やがて、

「わかった。それで、助けるって、ぼく、なにしたらいいの?」


「銀行に金振りこんで」


「それはないよ。アヤノちゃん、お金だけもって、逃げるつもりでしょ」


「じゃあ、ここまで連れ出しにきて」


「ここって、どこ?」


場所をおしえると、

「冗談、遠すぎ。あ、お客さんきた。店にもどったら連絡ちょうだい。じゃ、失礼しまーす」



通話が切れた。

メモリを探した。



「そんなとこにいるのお?

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