恋チョイス
寮はお化け屋敷だった。
「立派でしょう。まえは、大きな網元のお屋敷だったんですよ」
おばさんが、ハハオヤにはなしかける。
「ご心配なく、水回りはリフォームずみですから」
大人たちにつづいて、寮に入った。
黒光りするろう下をたどるうち、あたしは、左右の足のうらで、自分の心臓を交互に踏んで歩いているみたいに、気持ちがへこんでいった。
きしる階段を二階にあがる。
おばさんが、ろう下にずらりならぶ、ドアの一つをはね開けた。
「さあ、ここがあなたの部屋よ」
たえられない。
あたしは絶望した。