恋チョイス



「おーっと座りこんだ」


「拳銃うて、いまだ、撃て」


「くそっ、見えなくなった」



「ねー、つかれたー」

あたしは、つないだ手をゆすって、ゴウダの後ろすがたに弱音をはいた。


「まだ走るのー? どこまで行くのー?」


ゴウダが、手のひらに力をこめる。

「もうすこしだから、がんばれ」



しだいに、民家のあかりが遠のいた。

ほかの三人が、静かになる。

潮の香りが、強くたちこめる。

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