恋チョイス



ぐらつくミュールを蹴りぬいで。

民家にむけて。

明かりのほうへ。


走れ!


体をのっとられたごとく。

肺で、風がうなる。


走れ!

ハッとして、あたしは、窓かまちにおいた腕から、顔をあげた。

いまだ、夜道を追われているかのように、昨晩の、リアルな焦りがよみがえる。



汗ばむ髪をかきあげて、あたりを見わたす。

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