意地悪上司の溺愛
「おい、アタル…そろそろいいだろう?」


黙って見ていた悠人が出て行くように促す。

「ちぇ〜、もうかよ〜。あ、桜ちゃん、LINE交換しない〜??」

「あー!もぅ、出て行け!」


悠人が無理やり追い出していった。


「はぁ、うるさいやつ。」


心底、悠人の呆れ顔に私は思わず笑ってしまう。

「なにがおかしいんだ?」

「だって…、とっても仲いいんだなぁ。って思って。榊原さんと。」

「まぁな。ずっと一緒に育ってきたからな。」

「そっか、なんだか、とっても楽しそうだったよ?」

「ふ、楽しそうか。けど、あいつはいいやつだよ。」


私もそうだと思う。場を盛り上げるムードメーカーのような人だったから。


「お、そろそろ時間だな。行こうか?俺のお姫様?」

手を出して悠人がリードしてくれる。

「はい、王子様?一生この手を離さないでね?」


これからは2人の物語。2人で歩んでゆく物語。教会の鐘がなった。これはきっと幸せの鐘。



(完)



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