奇聞録(冬)二巡目
「今夜は鍋にしようぜ。」
アパートを訪ねてきた友人の提案で、
二人で鍋にした。
「俺、珍しい肉を持ってきたんだよ。」
友人は、血まみれの肉をビニール袋から引っ張り出した。
「おい、おい、何の肉だよそれ!」
「今日さ、突然バイト頼まれて、何かの動物の肉の解体手伝わされたんだよ。」
「で、バイト代代わりに肉を貰ったんだよ。」
友人は嬉しそうに言う。
「現場で焼いて食ったら旨かったからさ、お前にも食べさせたくてな。」
ああ、
そう言うことか。
だから、さっきから玄関に見たこともない男が
立っているか。
「お前、この肉食べちゃったの?」
「うん。早く食おうぜ。旨いから。」