野獣さんとお姫様
「…ここまで来れば、大丈夫!」


でも、聞くことなんてできないから。


聞いて、失う辛さを知ってるから。


「……げっ。」


俯いている私の上から、とても嫌そうな声がした。


この声は……。


「なんで、いるのぉ?もぉー、ストーカぁ?」


「…みうみう…くん。」


さっき、違う方に行ったのになんで?


「…な、なんか言いたいことでもあるのぉ?」


「なんで…ここに?」


思ったことを口に出すと、顔が真っ赤になった。


「べ、別に!学校で…迷うなんてこと…してないし?みんなに、置いていかれたとか…そんなことないから!!!!」


あ、迷子。置いていかれたんだ。


……、可愛い。


耳まで真っ赤だよ、…ふふ。


「ほ、本当だから!!じゃあ、僕行くから!」


……行くからって…、そっちは。。


「その先…トイレと3年生の方だよ…。
降りるなら、こっちの方が…」


私の方が、詳しいな。


まあ、あんだけパンフレット見たら……な。


「……っ!!!!!知ってるし!わざとだし!!!!!」


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