私は先輩の浮気相手 番外編。
そんな些細な先輩の優しさに、あたしは嬉しく感じつつ。
「いい加減かすみも、俺の名前なれてほしいよ」
「...敬語を抜かせるのが大変だったんだよ?」
3ヶ月で、何度冬真の名前を呼ばされたか..。
それなのに一度呼ぶと、嬉しそうに笑うものだから。
それを見たくて何度も呼ぶうちになれていたけれど。
「俺のお嫁さんを、両親も見てくれているのかな」
「きっとそうだよ。
傍にいると思うよ」
冬真があたしの手を引いて、窓に近づく。
「後10分で始まるのかぁ...、緊張するね」
冬真はふぅ、と息を吐く。
あたしも緊張していて、何とか平常心でいようとしていた。