そんな彼に今日も溺れて

「恵美の髪も、耳も……。唇も、吐息も……。どれも俺のものって分かってる?」

 低く甘い声で囁かれれば、仕事中に聞く彼の声よりずっと艶っぽく耳の奥――頭のずっと中の方がジンジンと疼いていく。

「仕事中に見せつけるように俺の吐息で満たすのも悪くないけれど――でも、こうして二人っきりで俺だけを見させるのも、悪くないな」

 そう言って私の頬を撫でていき、顎を優しく撫でるとクイ、と持ち上げた。

「恵美の口から聞きたい。俺のこと、どう思ってる?」
「……だ、大事な人」

 私は導かれれるまま――誘われるがままに応える。

「それだけ?」

 意地悪く微笑む。
 瞳の奥がきらりと光った。

「好き……です。だれよりも」
「合格」

 顎を支える手とは逆の腕で私の腰を引き寄せる。
「あ」
 と漏らした瞬間、口をふさがれてしまった。

「恵美の声も、この舌も。全部全部、俺のものだからな」

 誰よりも独占欲の強い彼。
 私はきっと、いつまでも彼の愛を手放せない。
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