緑の家
その思い出深い日から幾日後、母は子供達を集めた。


「みんなでおうちを作らない?」


オーギーは大好きな工作でダンボール製作をするのかと喜んだ。母は興奮気味に制止した。


「本物のおうちよ!土台だけ買って、あとは好きなように完成させるの。楽しそうじゃない?」


オーギーは母の興奮が移ったかのようにはしゃいだが、当時14才の姉ダニエルは落ち着いていた。


「引っ越すの?パパの思い出がある今の家がいいわ」


アーサーも姉に賛同した。二人には手放しがたくて当然だった。母は言った。


「私にはどうしても飾りたい写真があります」


そして、母は自分の身長を超える細長い箱を持ってきた。


「わあ!そんなのあったんだ」


「今日パパから送られてきたのよ」

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