緑の家
オーギーは箱を見るとワクワクする癖がある。上の2人も母の手の動きを見守っていた。


出てきたのは、箱と寸分違いの紙の筒だった。


「ダニエルそっち持って!アーサーはこっち、オーギーはママの隣よ」


広げてみると横幅はさらに大きく、隣の部屋の敷居をまたいだ。


子供達はあらわになる正体に釘付けになった。それは紙いっぱいに引き伸ばされた家族4人の写真だ。


「パパもいるわ」


「え、どこ!?」


よく見ると小人サイズでオーギーの肩にちょこんと座っている。


「素敵でしょ?ママはどうしてもこれを額に入れて飾りたいの。それに、引っ越しはママだってさみしいわ。みんなが生まれ育ったうちなんですもの。でも買ってしまえば、これからはずっとそこにいられるのよ」


ダニエルとアーサーは心を少しずつ揺らがして、時間をかけて母の意見を受け入れていった。
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