緑の家
病床の枕元で、子供達は母と約束を交わしていた。ダニエルは頭の中でその場面を繰り返す。


「ダニエルの夢はなに？」


「ママみたいなママになるの。緑の家にブランコや木馬なんかをいっぱい作って子供達を遊ばせるの」


アーサーは母の枕に顔を押し付けて動かなかった。


「アーサーの夢はなに？」


「家族と、緑の家を守ること」


オーギーはなぜアーサーがそうしているのかわからず、兄の背を見つめるばかりだった。


「オーギーの夢はなに？」


「もう少しでテラスが完成しそうなんだ」


「すごいわ大工さんになれるわね」


「先のことは決めてないけど、テラスでご飯が食べられるように、テーブルとイスも作るからね。ママが帰ってくるまでに」


「ありがとう。じゃあママはおやつを用意しておかなくちゃね」








それが母の最期の言葉となった。
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