ひとみ


朝食を食べ終えたボクは、学校へ行くことにした。
講義は2限目からだが、なんだか家でノンビリとする気にもなれずさっさと大学へ向いたかった。
早く大学に行って、図書館で本でも読んで時間をつぶせばいいだけだ。

本当なら家でゆっくり読書をして出かければいいのだが、多分、ひとみさんになんやかんやと邪魔されるに違いない。
考えてみれば、ここ何年、昨日ほど他人に振り回された経験はしていないと思う。
自分の好きなように時間が過ごせないことが、こんなにも苦痛であるとは思いもしなかった。
まして相手は、女性である。
それも、なまじっかな女性ではなく、根っからの女である。
ただでさえ苦手なのに、今朝みたいなことが日常茶飯事に発生したら、きっとボクはストレスで早死にするに違いない。

まぁ、ポジティブに捉えてみれば、もしかしたら彼女によって女性に対する免疫ができるかもしれない。
そうしたら、好きになった女の子にも気軽に話し掛けられるかもしれない。


よくよく考えてみれば、ボクは意外とひとみさんとは普通に話が出来ている気もする。
まぁ、あんまり話し相手になりたくはないが。

なにはともあれ、現実を現実として受け入れて生きていかなければならないことには変わりないか。

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