ひとみ
ボクはひとみさんと待ち合わせた駅前に到着した。
もちろん、10分程早くにだ。
まぁ、おそらく、彼女は時間通りに来ることはないだろう。
大幅に遅刻して悪びれる様子もなく『女を待つのは男の宿命よ』とか言い出すと、ボクは予想している。
…………あら?
あれ、ひとみさん?
100メートルくらい前方からボクに向かって手を振っている派手な女性がいる。
やっぱりひとみさんだ。
ボクは時計を見た。
針は2時半ちょうどを指している。
ちと意外だ。
ボクはもう一度彼女に視線を戻した。
そして、思わず生ツバを飲む。
近づいてくるひとみさんの格好に、正直、驚いた。
ミニスカートというにはミニスカートに申し訳ないほどの黒いマイクロミニ…………軽く膝上20㎝は露出している。
細く白い生足を晒して、10㎝はありそうなヒールのサンダルを履いている。
腰から上に目をやれば、胸元を大きく露出させたキャミソール………
さすがにまだ肌寒いからだろうか、その上には膝丈くらいまである白いスプリングコートを羽織ってはいるが…………
なんなんだこの人…………
確か、これからスーパーに買い物に行くんだよね?
気が付くと彼女はボクの目の前にいた。
「おまたせ、駿平君」
彼女は大きな瞳でボクを見上げながら言った。