ひとみ



ボクたちはスーパーに入り、今夜の夕飯の食材を選ぶことにした。

「ひとみさん、なに食べたいですか?」

ボクの問いに、彼女はマジマジと考え、閃いたように答えた。

「食べたいものでしょ?ええとねぇ………駿平君が食べたいっ!」

かわいこぶって、変なポーズをしながら、彼女はそう言った。
ボクはあんぐりと開いた口を閉じることが出来なかった。
色々とツッコミを入れたいけど、正直、疲れた。
さっき、少しだけ彼女に対する見方が変わった気がしたけど、やっぱり気のせいだ。
今後、こんなペースでからかわれながら生活していかなきゃならないなんて、ボクは、ボク自身が可哀想に思えてきた。


結局、久しぶりの日本食だし、ボクではなく魚が食べたいと彼女は訂正を入れてきたので、ボクたちは刺身の盛り合わせと、銀ダラの彩京漬けを買って店を出た。
あと、当然のように、ひとみさんが日本酒も主張してきたので、1升瓶を1本購入することとなってしまったが。

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