ひとみ
必殺の
大学が長い夏休みに入ると、有り余る時間の費やし方に頭を悩ませてしまう。
一応、家庭教師のアルバイトはしているものの、そんなの週に2日で2時間程度である。
さて、他の時間をどう使おうか。
おそらく、仕事人間の父みたいな人間にこんな話をしたら、羨ましがられるか、説教くらうかどちらかであろう。
まぁ、せっかくだから、毎日図書館にでも通って読みたい本を読み漁ることにしよう。
「いってきます」
ボクは眠そうな顔をしたひとみさんにそう告げ、家を出ようとした。
「ん~駿平君、夏休みでしょ?どこ行くの?」
「図書館に本読みにいってきます」
「ふ~ん、さすが文学部。じゃあ、私も行くからちょっと待ってて」
そう言って、彼女は2階の彼女の部屋へ向かって行った。
「えっ?なんでひとみさんも行くの?」
ボクの言葉に彼女はニヤリと笑った。
「だって、駿平君のせっかくの夏休みなんだから、図書館デートってことでいいでしょ?」
「はぁ?なにわけのわからないことを。だいいち、ひとみさん、本とか読むんですか?」
ボクの言葉に彼女は笑いながら答えた。
「読むわよぉ~失礼ね。雑誌とか漫画とかならね」