ひとみ
stay by my side
ひとみさんの風邪もすっかり完治し、またいつもと同じ毎日が始まる。
相変わらずの露出度の高い彼女の服には目がいきつつも、ため息を吐いてしまう。
まぁ、ひとみさんの風邪が治っただけで、よしとしよう。
正直、しんどい毎日だった。
熱があるのはしかたないけど、ボクはすっかり彼女の下僕の体だった。
ボクとしても、風邪の時に彼女に世話になったわけだし、致し方ないと、割り切るしかなかった。
ふと、朝ご飯を豪快にかき込むひとみさんに目をやる。
ボクが寝込んだ時に言ってたこと、ホントなのかなぁ?
ふと、そんな考えが頭をよぎる。
ボクの父に子供の頃から憧れていて、高校卒業と同時に単身で父のもとに乗り込んで、気が付けば父の恋人にってね。
なんで、ボクはそんな彼女と同居してるんだろう?
今更ながら、改めて思う。
しかも、ボクは彼女に、その、まぁ、なんつうか、キスされた。
ひとみさんが、どういう意図でキスしたのか知らない。
本当に『熱の下がるおまじない』のつもりだったのか。
父の話をして、父のことを思い出して、顔の似たボクにキスしたくなったのか、なんとなく寂しかったのか、それとも、ボクのことを……
まぁ、それ以上は考えるのはやめよう。