ひとみ
ボクは部屋に戻り、ベッドに横になった。
2本目のビールが心地よい睡魔を誘ってくれる。
今日は、夕立に遭遇したり、停電になったり、ひとみさんに恥ずかしい姿を見られたり、散々だったなぁ。
そんなことを思い返しながら、睡魔に全身を預けた。
そして意識が途切れようとする、まさにその時、突然ボクの部屋の扉が開いた。
その音にボクは飛び起きた。
扉の向こうには、ひとみさんが立っていた。
「駿平君、怖くて寝られない、お願い、一緒に寝てよぉ」
彼女は怯えるような目でボクを見た。
「ひとみさん、それ、本気で言ってるんですか?」
つい、そんな風に聞き返してしまった。
「冗談なんかじゃないの。それに、駿平君のせいだからね。責任とってよ」
その声は半分涙声だった。
おそらく、いつもの軽口ではないだろう。
確か、ひとみさんて、独りになることをすごく嫌がっていたよな、寂しがり屋だし。
ホント、変わった人だ。
ボクは彼女に向かって微笑んだ。
「わかりました。責任はとりますよ。そのかわり、寝ているボクを襲わないでくださいよ」