BEAST POLICE年末特別警戒スペシャル
そのホームレスの男性は、紙袋を手にしていた。

何の変哲もない、近くの百貨店の紙袋。

ホームレスは鞄代わりに、そういった紙袋を持ち歩いている事が多い。

中には生活雑貨や着替えなど、必需品を入れている事が多いのだ。

男性は、通りにあるパソコンの店の前で立ち止まる。

メーカーの最新モデルから、ジャンクパーツまで取り扱っている専門店。

チューリップハットに隠れた目で、じっと店先を見つめる男性。

彼は不意に。

「!」

手にしていた紙袋を店の前に置き、そのままスタスタと歩き去っていってしまう。

「あ、ちょっと」

見ていた美奈は、思わず男性の後を追う。

忘れていったのか、わざと置いて行ったのか。

何にせよ、これは男性の持ち物だ。

届けてやらなければ…。

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