その一言を聞きたくて
友樹の気持ちが落ち着いたところを見計らって、周りのお客さんが次々と話しかけてきた。

どうやら、初めて見る顔に興味津々な様子であった。

その中でもよく話しかけてきたのが、隣の席に座っているトオルさんという30代くらいのガタイのいいお兄さん。

その人はとても優しく話を聞いてくれて、自分がキープしているお酒を分けてくれたりもした。

ただ、そのお酒がなかなかに濃くて、次第に酔いが回りだした友樹。

やはり、この頃の自分にはお酒はまだまだ早いようだ。

トイレに向かう足も若干の千鳥足でなんとか歩いていける程度だった。

俺…ちゃんと家に帰れるんだろうか…?

だんだんと不安になった友樹は酔いつぶれないうちに、店を後にすることにした。
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