その一言を聞きたくて
なるほどね…。
飲み屋が初めてと聞いてアイツは目をつけたんだな。
ああいう奴もいるんだから、気をつけなきゃダメじゃんか…。
ほんと、間に合ってよかったよ。

大地はホッと肩を撫で下ろす。

大地の言う通りだった。
初めて会う人にお酒を振る舞うなんて、今考えればおかしいことである。

自分がちゃんとしてれば…こんな迷惑をかけないで済んだのに…。
だめだ、また涙が出てきた…。

服の袖で涙を拭う友樹。

あのさ、こんな事があったからって、ゲイを辞めようなんて思わないでくれよな?
辞められると…その…いろいろ困るんだよ…。

涙を見せる友樹に対して大地がそう言葉をこぼした。

困る…?なんでだろう…?

友樹は訳が分からず大地を見つめた。
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