その一言を聞きたくて
あれから友樹は再び眠りについた。
そして次に起きた時にはもう夕方になっていた。

綺麗な夕陽だな…。

そう言いつつ友樹の心は何故がドキドキしていた。


保健室を出て教室に戻った友樹。
しかし、下校時間を過ぎていたこともあり誰も教室に居なかった。

ふと教室を見渡すと、大輔の机の上に何かが置かれている事に気付いた。

忘れ物かな…?

よくよく見るとそれはリップクリームだった。
友樹はキャップを開けてみた。
まだ中身が残っている。
そのリップクリームからはスーッと抜けるような爽やかな匂いがした。

この匂い…どこかで…

友樹は今日の出来事を思い出す。
どこかで嗅いだ事のある匂いは、保健室で唇を舐めた時のものだった。

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