禁忌の愛〜始まる関係〜
いつもの『光景』
「お嬢様、おはようございます。」

そう言って、私に一礼する『雪乃さん』は、私の専属のメイドさんである。

「おはよう、雪乃さん。」

私は、ボォ〜ッとしていた。

『昨日の事』を思い出してしまって、一睡もしてないのだ。

「まぁ、お嬢様!!目の下にクマが出来てますわ!!」

雪乃さんは、びっくりした様子で慌てふためく。

そんな雪乃さんの様子を見て、私は、クスリと笑みが零れた。

昨日、『あんな』の見たのに、次の日に笑えるとか、私って、どこか神経がおかしいのだろうか!?

そんなことを思いながら、食卓についた私は、『いつもの光景』に『昨日の事』がウソのように思えてくる。

私に『無関心』な様子の慧お兄ちゃんは、コーヒーを静かに飲んでいた。

まったく私とは、一言も話さず、目も合わせようともしない。

その代わり、要お兄ちゃんが話しかけてきた。

「菫。お前、『好きな奴』いるんだって!?」

私は、その『爆弾発言』に『顔』が真っ赤になってしまった。

この反応じゃ、答えを『肯定』しているようなものだった。

「要お兄ちゃん!!一体、どこから、そんなことを聞いてくるの!?」

私は、そう言うが、『情報』の『出処』は分かっていた。

きっと‥‥‥。

私が、そう思っていた時、パパが突然、言った。

「菫!!その『好きな人』を今度、ウチに『連れて来なさい』!!」

「えっ!?だって、まだ、『告白』もしてないし、『付き合って』もないのに、ウチに『連れて来い』だなんて‥‥‥‥。」

私は、不満気な様子で言った。

「まだ、『付き合ってない』からだ。」

パパは、にっこりと微笑むと、そう言い切った。

そういうことを『言う時』の『パパ』には、誰も逆らえない‥‥‥ということは、『この場』にいる誰もが知っていた。

そうして、私は、どうやって、『彼』をウチに誘おうか?と、呑気に考えていた。

その時、慧お兄ちゃんが、そんな私をジッと見つめていたことにも気づかずに‥‥‥‥。
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