ただし××な意味で【完】
33歳高スペック、結婚も考える年齢。職場の女性たちだって内原さんのことを放っておかないだろう。
わざわざ私に構わずとも、彼に寄ってくる綺麗な女の人は、腐る程いるに違いない。
私の強みといえば、家が隣なことと若さだけだったのに、まともに話もしてもらえないんじゃ勝負にならない。
新作のゲームに内原さんが食いついて家に入れてくれたら、こうしようとずっと前から決めていたのだ。
いつも私は彼に敵わない。一度でいいから参ったといわせてみたい。打ち負かしてやりたい。ぎゃふんと言わせて、痛い目見せてやりたいです。
私押し倒したのに。危険な状況なのに。もうちょっとだけ焦ってくれてもいいんじゃないですか?
「……彼女なんかいねーよ」
「……」
「……お前だって、大学に若くていい男くらいいっぱいいるだろ」
「私が好きなのは内原さんだもん」
「11も年上なんだぞ、俺は」
「年の差なんて関係ないじゃないですか、……そりゃ、内原さんにとったら私なんて、子供にしか見えないかも、ですけど。……でもあと数年もしたら……っ!」
「……」
「年の差とか関係なく、内原さんが好きなんです……、ん、え、……っ」
言った瞬間、なんの前触れもなく唇に柔らかいものが触れた。